耐久性に優れ、デザイン性が高く高級感のある外壁タイル。
雨風や紫外線にも強く、経年劣化が少ないという特徴がありますが、実は近年、外壁タイル剥落によるトラブルが後を絶ちません。
外壁タイルの剥落によるトラブルは発生原因の特定が困難なケースが多く、中には裁判に発展するケースもあります。
そこで注目されているのが、施工不良であるか否かを判断する基準である「経年劣化率」。
今回はこの「経年劣化率」についてご説明します。

外壁タイルの経年劣化率とは
外壁タイルの経年劣化率とは、外壁タイルが年月とともに浮いたり剥がれたりする面積の割合のことです。
この数値は、外壁タイルの品質や施工の状態を判断する指標となり、一般的には、築年数に応じて以下のような基準があります。
5年以内:浮き率が0%以上
5年超10年以内:浮き率が3%以上
10年超15年以内:浮き率が5%以上
15年超20年以内:浮き率が10%以上
この基準を超えた場合は、施工不良や経年劣化が進んでいる可能性が高く、早急な対処が必要です。
外壁タイルの浮きや剥離は、水分や埃の侵入や躯体のサビなど、建物全体に悪影響を及ぼす恐れがあります。
これまで外壁タイルの剥落によるトラブルは発生原因の特定が困難なケースが多く、解決が難しいと言われてきました。
しかし2018年2月14日、大阪地方裁判所で、築5年8カ月の建物に大量のタイルの浮きが発覚したという事案がありました。
「浮き率」によって、下請けのタイル工事会社の施工不良であることが認められ、損害賠償金の支払いを命じられるという判決が下されたのです。

浮き・剥落率が上記の数値を上回った場合は施工不良とみなされ、この事例は今後の裁判においても重要な指標になると考えられます。
さらに22年4月には、改正マンション管理適正化法が全面施行されました。
この法律の中には、耐震性や火災安全性が不足している場合、外壁等の剥落や給排水管の腐食等により周辺に危害を及ぼすおそれがある場合は、それらを防止するために維持管理をさらに強化する内容が含まれています。
外壁タイルの落下のリスクを未然に防ぐためには現行の維持管理に加え、施工段階における品質確保が極めて重要であると言えます。
外壁タイル剥落トラブルを引き起こす施工不良
タイル剥落トラブルにつながる施工不良例には、次のようなものがあります。
目荒らし処理が不十分
目荒らし処理が不十分な場合、下地コンクリートと圧着モルタルの接着力が低下し、外壁タイルが浮いたり剥落したりします。
型枠離型剤の残存
型枠離型剤が下地コンクリートに残存している場合、圧着モルタルがコンクリートに付着せず、タイルが剥落しやすくなります。
吸水調整剤を塗布していない
吸水調整剤を塗布していない場合、圧着モルタルに含まれる水分が下地コンクリートに吸われて硬化不良を起こし、タイルが剥落する恐れがあります。
外壁タイルの圧着不足
外壁タイルの圧着不足の場合、タイルの裏面に隙間ができて水分や空気が侵入し、タイルの浮きや剥落につながります。
このような施工不良は、打診調査や赤外線調査などで検出することができます。
施工不良によるタイル剥落は、放置すると建物の資産価値や安全性を低下させるだけでなく、第三者への被害や責任も発生する可能性があります。
2011年に行われた調査によると、施工不良による外壁タイル剥落物件の施工不良の内訳は以下の通りです。
48% 目荒らし処理を行っていない
9% 吸水調整剤を塗っていない
30% その他・不明
目荒らしの不足または未処理による剥落が最も多く、外壁タイルの剥落原因として施工不良の恐れが見受けられた場合は業者と相談し、再発を防ぐために早期の対処が重要です。
もし外壁タイルのメンテナンスを怠ったら
こちらは、外壁タイルのメンテナンスを約50年間しなかった写真です。



外壁タイルは、耐候性や耐久性に優れていますが、それでも経年劣化は避けられません。
特に、タイルと下地をつなぐ目地や接着剤は、雨水や紫外線の影響で劣化しやすく、メンテナンスをしないと、以下のような問題が起こる可能性があります。
・タイルが浮いたり剥落を引き起こす
・目地や下地がひび割れたり剥離したりする
・雨水が内部に侵入して構造部分が腐食する
・雨漏りやカビの発生などの住宅環境の悪化
・タイルが落下して人や物に当たる事故の原因となる
これらの問題は、見た目だけでなく、建物の強度や安全性にも影響を与え、修繕費用も高額になる可能性があります。
メンテナンスをしていない期間が長くなればなるほど、補修に掛かるコストも上がります。
計画的な補修スケジュールを立てて、事故やトラブルを防ぎましょう。
12条点検とは
12条点検とは、建築基準法第12条で定められた、建物の安全性を確認するために実施する定期的な点検のことです。
12条点検では、一定の条件を満たす建築物などで、以下の5つについて経年劣化などの状況を定期的に点検しなければなりません。

・建築物
・建築設備(給排水設備、換気設備、排煙設備、非常用の照明装置)
・防火設備
・昇降機
・準用工作物
12条点検は法令で義務付けられているため、点検義務を怠ると罰則の対象となります。
12条点検を実施できるのは、一級建築士、二級建築士、または特定の講習を修了した調査員のみです。
このように、築年数が経って経年劣化が激しい場合、経年劣化率が著しく高く、施工不良の疑いがある場合は、取り返しのつかない重大なトラブルに発展する前に剥落防止施工が必要です。


